これ以上のものができるのだろうか? 切なく歌い上げる声が魅力のカナダ人シンガーでありピアニストでもある、ダイアナ・クラール。2時間に及ぶパリでのコンサートは2001年12月に収録された。ビッグヒット「ザ・ルック・オブ・ラブ」が出たすぐ後の収録だけあってパフォーマンスは絶好調。バンド編成はギタリストのアンソニー・ウィルソンとベーシストのジョン・クレイトン。彼らはもちろん、今回は交響楽団などの豪華ゲストも参加し、ダイアナを強力にバックアップする。そのハスキーな声に注目が集まっているが、スタンダードなナンバーでもバラードでも、スタインウェイのピアノから自在につむぎ出す音も実に魅力的。クラウス・オガーマンのアレンジにインスパイアされたのか、「オール・オア・ナッシング」の最後にビートルズの「デイ・トリッパー」のさわりを演奏したのには驚かされた。流れるようにソロへ移っていく才覚も素晴らしい。音楽の小気味良いリズムに乗ったカメラワークや編集も心地よさを演出している。ここは地上のジャズの天国か、そう思わせてくれた。(Jeff Shannon, Amazon.com)